2人の女性

キャバクラに連れて行ってもらった。

紫のドレスの女性

会社の暑気払い(と呼ばれる夏の時期の飲み会)でキャバクラに行った。24歳になって、初めての体験だった。先輩たちは、慣れた調子で楽しそうに盛り上がっていた。隅の方で目立たないように飲みながら、隣に座った化粧が濃いのに地味な印象の女と話をした。年齢を聞くと26歳だという。こういう店の女が、本当の年齢を言うものなのか分からない。地味な顔立ちに無理やり濃く化粧をぬりたくっていて、20代前半と言われても30代と言われても納得しそうだった。ホストにはまっているとか、どうでもいい話をはじめたので、さえぎるように女の出身地を聞いてみた。東北地方のとある県から東京に出てきたらしい。近所で、イノシシが出たりするような所だったという。田舎(地方都市でなく)から出てきた女は、何となく雰囲気で分かる。この女も、そうだろうと思った。俺は、この女は田舎の出だというような気がしたら、必ず出身を聞くようにしている。「どちらの出身なんですか?」というと、たいがい、聞いた女は恥ずかしそうに笑いながら都道府県名だけで、都会ではないことが分かる地名を言う。ほぼ、外れたことはない。別に、そこから話を広げるような話芸もなければ、口説く勇気もない。ただ、その女の秘密を知ったような気がして、自分でも気味悪いが、満ち足りた気持ちになる。その日は結局、その女と2人で話し込んでいるところを先輩にからまれ、でかい声で自己紹介をさせられたり、一発芸をさせられたりと散々な目にあった。もう一軒、セクキャバに行くという先輩たちと別れ、マンガ喫茶で始発を待ちながら、あの年齢不詳の地味な顔立ちの女が、にやけた笑みを浮かべながら教えてくれた出身地のことをスマホで検索していた。

INFORMATION